■今回取り上げる話

今回取り上げるのは、ウルトラセブン 「ウルトラ警備隊西へ」と「闇に光る目」である。
これらの作品は、単なる宇宙人侵略を描いたエピソードではない。
ここで描かれているのは、
「外国介入戦争」
である。
戦争では、当事国だけではなく、第三国や外部勢力が介入する場合がある。
介入には、
・軍事支援 ・同盟支援 ・停戦交渉 ・勢力均衡維持
など、さまざまな形が存在する。
そして時には、第三者が紛争当事者の間に立ち、戦争終結を模索する場合も存在するのである。
『ウルトラ警備隊西へ』と『闇に光る目』からは、そうした問題を見ることができる。

■今回のテーマ

戦争では、当事国だけではなく、第三国や外部勢力が介入する場合がある。
現代の戦争では、こうした外国介入は決して珍しいものではない。
軍事研究者 Ⅰ・ケンデ は、戦後の局地戦争の多くが、外国勢力の介入を伴っていることを指摘している。
外国介入には、
・軍事支援 ・同盟支援 ・停戦仲介 ・勢力均衡維持
など、さまざまな形が存在する。
また、外国介入は単なる軍事参加だけではない。
時には第三国や国際機関が、
・停戦交渉 ・周旋 ・仲介
などを通じて、戦争終結を模索する場合も存在する。
周旋とは、第三者が交渉の場を提供し、交戦国を交渉のテーブルへ着かせることである。
一方、仲介とは、単に場を提供するだけではなく、具体的和平案を提示し、より直接的に交渉へ関与していく行為を指す。
近年では、単なる停戦だけではなく、紛争当事者全体を含めた「包括的和平合意」が重視されるようになっている。
しかし現実には、多くの紛争当事者が交渉へ参加し、利害が複雑化することで、和平形成そのものが難航する場合も少なくない。
国際政治学者 ウィリアム・ザートマン は、紛争当事者が「これ以上戦い続けても利益がない」と認識したときに、和平交渉が成立しやすくなると論じている。
つまり和平とは、単に話し合いの場を設ければ成立するものではない。
当事者が、
「戦争継続よりも和平の方が利益になる」
と認識しなければ、和平形成は困難なのである。
また介入は、必ずしも成功するとは限らない。
時には戦争を終結へ向かわせる一方で、逆に戦争を激化させてしまう場合も存在する。
つまり外国介入とは、
「戦争を終わらせる可能性」
と、
「戦争をさらに拡大させる危険性」
の両方を持っているのである。
そして、こうした問題はウルトラセブンにも描かれている。

■ストーリー① 「ウルトラ警備隊西へ」

地球は、暗黒星と呼ばれるペダン星へ観測ロケットを送り込む。
しかしペダン星人は、それを侵略準備と受け取り、地球への報復を開始する。
地球防衛軍はキングジョーへの対抗策として新兵器開発を進め、戦争は急速に激化していく。
この中でダンは、ペダン星人へ停戦を提案する。
その内容は、
「地球側が新兵器開発を停止する代わりに、ペダン星人も地球から撤退する」
というものであった。
つまりダンは、単なる武力衝突ではなく、相互譲歩による戦争終結を模索していたのである。
これは単なる周旋ではない。
ダン自身が具体的条件を提示し、交渉へ直接関与している以上、これは「仲介」と見ることができる。
しかし交渉は成立せず、戦闘は続行される。
この回では、外国介入や仲介によっても戦争を終結させることができず、むしろ戦争が激化している。
つまり『ウルトラ警備隊西へ』からは、
「介入失敗」
の側面を見ることができるのである。

■ストーリー② 「闇に光る目」

一方『闇に光る目』では、アンノン星人との衝突へセブンが介入する。
アンノン星人は、地球人の探査行動に強い警戒心を抱いていた。
セブンは武力で押さえ込むのではなく、地球側に悪意がないことを必死に訴えかける。
その説得を受け、アンノン星人は地球を去っていく。
つまりこちらでは、セブンの介入によって戦争拡大は防がれ、事態は収束へ向かっている。
こちらは、
「介入成功」
として見ることができるのである。

■現実世界の話

このような問題は、現実世界の国際政治でも見ることができる。
たとえばベトナム戦争では、アメリカの介入によって戦争は長期化し、被害が拡大した。
また、ソ連によるアフガニスタン介入でも、戦争は泥沼化している。
一方で、停戦監視や国際仲介によって、戦争終結へ向かう場合も存在する。
たとえば日露戦争では、アメリカ大統領ルーズヴェルトが仲介役となり、ポーツマス条約成立へ関与した。
ただし、こうした仲介も、完全中立で行われるとは限らない。
ルーズヴェルトの場合も、極東における勢力均衡維持というアメリカの国益が背景に存在していた。
つまり外国介入や仲介とは、しばしば介入側自身の利益とも結びついているのである。

■この話の意味

これらの作品からは、
「外国介入戦争」
を見ることができる。
この回で重要なのは、セブンの介入が、常に同じ結果を生んでいるわけではない点にある。
「ウルトラ警備隊西へ」では、介入や仲介によっても戦争激化を防ぐことができなかった。
一方「闇に光る目」では、説得と介入によって、事態は収束へ向かっている。
またセブン自身も、完全中立の第三者ではない。
彼は基本的には地球側に立ちながらも、ときに戦争終結を模索し、宇宙人との仲介役を果たそうとしていた。
つまり描かれているのは、単なる宇宙人との戦いではない。
それは、
「外国介入と和平仲介の難しさ」
なのである。
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