■今回取り上げる話
今回取り上げるのは、ウルトラセブン「宇宙囚人303」である。
国家や文明は時として、
「共通の脅威」
に対処するため、協力関係を築く場合がある。
『宇宙囚人303』からは、そうした問題を見ることができる。
■今回のテーマ
国際政治において、国家は常に敵対しているわけではない。
時には、共通の脅威へ対処するため、国家同士が協力関係を築く場合が存在する。
アメリカの国際政治学者 スティーヴン・M・ウォルト は、国家は単に強大な存在に対抗するのではなく、
「脅威」
と認識した存在へ対抗するため協力関係を形成すると論じている。
つまり国家間協力とは、単なる友情や理想だけではなく、
・安全保障
・生存
・共通の脅威
・生存
・共通の脅威
などによって形成される場合もあるのである。
そして、こうした問題はウルトラシリーズにも描かれている。
■ストーリー
キュラソ星から、宇宙囚人303が地球へ逃亡してくる。
303は極めて危険な犯罪者であり、キュラソ星の連邦警察からも、
「発見次第殺害せよ」
という警告が送られていた。
303は地球各地で事件を引き起こし、ウルトラ警備隊は追跡を開始する。
そしてウルトラ警備隊とウルトラセブンは、303を追い詰めていく。
やがて303は倒され、事件は解決する。
事件解決後には、キュラソ星から地球へ祝電が送られる。
さらに両者の間には、友好条約が結ばれるのであった。
■現実世界の話
このような問題は、現実世界の国際政治においても見ることができる。
たとえば第二次世界大戦では、アメリカ・イギリス・ソ連など、政治体制の異なる国家同士が、ナチス・ドイツという共通の脅威へ対抗するため協力した。
また冷戦期には、対立関係にあったアメリカと中国が、ソ連という共通の脅威への対抗を背景に接近していった。
つまり国家間関係は、単なる友情や価値観だけではなく、
「共通の脅威への対応」
によって大きく変化する場合もあるのである。
■この話の意味
『宇宙囚人303』からは、
「共通の脅威によって、異なる国家や文明が協力関係を築く」
という構造を見ることができる。
この回で重要なのは、地球とキュラソ星が、当初から友好的関係にあったわけではない点にある。
むしろ、宇宙囚人303という共通の脅威へ対処する過程の中で、協力関係が形成されていく。
そして最後には、友好条約まで結ばれるのである。