■今回取り上げる話
今回取り上げるのは、ウルトラセブン 「空間X脱出」である。
これまで見てきたように、戦争や侵略は、単純な兵力だけによって行われるわけではない。
国家や軍事勢力はしばしば、
・どこで戦うのか
・どの領域を支配するのか
・どの技術を利用するのか
によって、自らを有利な状況へ持ち込もうとする。
つまり戦争とは、単なる正面衝突ではなく、
「いかに有利な条件で戦うか」
という問題でもあるのである。
『空間X脱出』からは、そうした問題を見ることができる。
■今回のテーマ
戦争においては、単純な兵力の多さだけではなく、
「どの戦場を支配するのか」
が重要となる。
イギリスの軍事思想家 リデル=ハート は、真正面から敵主力へ突撃する戦争よりも、
・敵の弱点を突くこと
・相手が対応困難な方向から圧力を加えること
・有利な条件で戦うこと
を重視した。
彼はこれを、
「間接アプローチ」
と呼んだ。
また現代軍事学では、このように、
相手と同じ条件で戦うのではなく、
・特殊技術
・空間
・情報優位
・機動力
などを利用し、相手が十分に対応できない状況を作り出す戦争形態を、
「非対称戦」
と呼ぶ場合がある。
つまり戦争とは、
単純な力比べではなく、
「いかに相手を不利な状況へ追い込むか」
でもあるのである。
そして、こうした問題はウルトラシリーズにも描かれている。
■ストーリー
ウルトラ警備隊のアマギ隊員とソガ隊員は、パラシュート降下訓練中、突然消息を絶つ。
二人は、「空間X」と呼ばれる謎の空間へ迷い込んでいた。
そこは通常空間とは異なり、一度入り込むと自力では脱出することができなかった。
そして、その空間を利用していたのがベル星人であった。
ベル星人は、空間Xを利用しながら侵略を企てていたと思われる。
吸血ダニ、グモンガ、ツタ状の植物が、アマギ隊員たちを次々に襲う。
そして最後に、ベル星人が姿を現す。
キリヤマ隊長、ダン、アンヌたちは、アマギ隊員とソガ隊員の救出へ向かう。
そしてダンはウルトラセブンとなり、ベル星人との戦いに挑む。
■現実世界の話
このような問題は、現実世界の戦争においても見ることができる。
たとえば太平洋戦争では、
制空権・制海権・空母機動部隊などが極めて重要となった。
特に航空機の発達によって、
「どの空間を支配するのか」
が勝敗を大きく左右するようになったのである。
また、ベトナム戦争では、
ジャングルや地下トンネルなどの地形を利用しながら、
相手を徐々に消耗させる戦い方が行われた。
これは単純な正面衝突ではない。
相手を、自らに有利な環境へ引き込み、
・地形
・罠
・周辺環境
・ゲリラ戦
などを利用しながら、
徐々に戦力を削っていく戦争形態であった。
つまり戦争とは、
単純な兵力の多さだけではなく、
「いかに自らに有利な戦場や環境を利用するのか」
もまた重要なのである。
■この話の意味
『空間X脱出』は、もちろん、
「ベル星人とウルトラ警備隊の戦い」
として楽しめる作品である。
しかしその一方で、
「なぜ国家や軍事勢力は有利な戦場を求めるのか」
という問題を考えさせる部分も存在している。
また、ベル星人自身が最初から直接戦うのではなく、
・吸血ダニ
・グモンガ
・ツタ状の植物
などが、次々にアマギ隊員たちを襲っている点も重要である。
これは単なる怪奇演出ではない。
ベル星人は、
空間Xという自らに有利な環境の中で、
周囲環境や先兵を利用しながら、
相手を徐々に消耗させているのである。
そして最後に、
ベル星人自身が姿を現す。
つまり『空間X脱出』が描いているのは、
単純な正面攻撃による侵略ではない。
それは、
「有利な戦場へ相手を引き込み、段階的に消耗させる戦争」
なのである。
 
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