■今回取り上げる話

今回取り上げるのは、『ウルトラセブン』の「超兵器R1号」です。
国や集団は、自分たちを守るために、強い武器を持とうとすることがあります。
もし敵より弱ければ、攻撃されるかもしれないからです。
しかし一方で、強い武器を持てば持つほど、相手もまた、
「こちらももっと強い武器を持たなければ危ない」
と考えるようになります。
すると、
・こちらが武器を強くする
・相手もさらに強くする
・こちらもまた強くする
という終わりのない競争が始まってしまいます。
『超兵器R1号』には、そうした問題を見ることができます。
しかしこの作品が描いているのは、単なる「武器の競争」ではありません。
そこには、
「相手が攻撃してくる前に、先に叩いてしまう」
という、とても危険な考え方が描かれているのである。

■今回のテーマ

冷戦の時代、アメリカとソ連は、互いを警戒しながら核兵器を増やしていきました。
相手より弱くなれば、自分たちが滅ぼされるかもしれない。
そう考えたからです。
また、
「こちらが強い武器を持っていれば、相手も攻撃して来なくなる」
という考え方も広がっていきました。
しかし一方で、
「相手がもっと強くなる前に攻撃した方が有利ではないか」
という発想も生まれていきます。
『超兵器R1号』が描いているのも、そうした問題です。

■ストーリー

地球防衛軍は、惑星そのものを破壊できる超兵器「R1号」を開発します。
フルハシは、
「これで地球の防衛は完璧だ」
と語ります。
またアンヌも、
「超兵器があると知らせれば、侵略して来なくなる」
と言います。
つまり、
「強い武器を持てば平和を守れる」
と考えていたのです。
しかし、R1号の実験によって、ギエロン星は破壊されてしまいます。
そして、生き残ったギエロン星獣が地球へ襲来することになります。
つまり地球は、
「未来の侵略に備える」
ために作った兵器によって、自分から新しい戦争を生み出してしまったのである。

■R1号の論理

普通の軍備競争では、
・相手が武器を増やす
・こちらも対抗する
・さらに相手も武器を増やす
という形で進んでいきます。
しかしR1号のケースは少し違っていました。
ギエロン星は、地球の軍備増強に対抗する間もありませんでした。
地球側が行った実験そのものによって、星が破壊されてしまったからです。
つまりこれは、
「武器競争の結果として戦争になった」
のではありません。
武器を強くしたこと自体が、そのまま戦争になってしまっていたのである。
しかもR1号は、ただの強力な兵器ではありません。
それは、
「危険になる前に、相手を消してしまう」
という考え方につながる兵器でした。
ここに、この作品の恐ろしさがあります。
作中でダンは、
「それは、血を吐きながら続けるマラソンですよ」
と言います。
こちらが強い武器を持てば、相手もさらに強い武器を持とうとする。
そしてこちらもまた、さらに強い武器を作ろうとする。
その競争には終わりがありません。
しかも『超兵器R1号』では、その競争が本格的に始まる前に、すでに大きな破局が起きてしまっているのである。

■現実世界の話

このような問題は、現実世界でも見られます。
たとえば二〇〇三年のイラク戦争では、
「将来危険になるかもしれない」
という理由から、アメリカ合衆国は軍事行動を行いました。
そこでは、
「攻撃されてから反撃する」
のではなく、
「危険になる前に先に叩く」
という考え方が強く現れていました。
しかし、この考え方には大きな問題があります。
「本当に危険なのか」
「どこまでを脅威と考えるのか」
を、完全に正しく判断することは難しいからです。
もし間違えれば、
「自分を守るため」
の行動が、逆に大きな戦争を生み出してしまうこともあります。
『超兵器R1号』は、そうした問題について考えさせる作品なのである。
ログイン 会員登録
あなたのコレクションを管理できる
コレクション管理 マイページ