■今回取り上げる話
今回取り上げるのは、ウルトラセブン「盗まれたウルトラ・アイ」である。
これまで見てきたように、国家や集団は、
・生存
・安全保障
・資源確保
・支配
・安全保障
・資源確保
・支配
など、さまざまな理由によって対立する。
しかし対立の原因は、それだけではない。
人間はしばしば、
「自分たちと違う存在」
に対して警戒心や恐怖を抱く。
民族、宗教、思想、文化、価値観などの違いが、対立へ発展する場合も存在するのである。
『盗まれたウルトラ・アイ』からは、そうした問題を考えることができる。
■今回のテーマ
国家や集団は、ときに、
「自分たちとは異なる価値観」
を持つ相手を危険視することがある。
現実世界においても、
【宗教・価値観の違いによる対立】
・北アイルランド紛争(カトリックとプロテスタント)
・アラブ・イスラエル対立(イスラム教とユダヤ教)
・イラン・イラク戦争(シーア派とスンニ派)
・アラブ・イスラエル対立(イスラム教とユダヤ教)
・イラン・イラク戦争(シーア派とスンニ派)
【思想・イデオロギーの違いによる対立】
・米ソ冷戦(自由主義と共産主義)
・中ソ対立(共産主義内部の対立)
・中ソ対立(共産主義内部の対立)
などが存在していた。
もちろん、これらの対立は宗教や思想だけで説明できるものではない。
しかし、
「相手は自分たちとは違う」
という意識が、敵対感情を強める場合があることは確かである。
そして、こうした問題はウルトラシリーズにも登場している。
■ストーリー
マゼラン星人のマヤは、ダンからウルトラ・アイを盗むために地球へ送り込まれた。
それは、ウルトラセブンにある計画を邪魔されないようにするためだった。
その計画とは、
「狂った星・地球を恒星間弾道弾によって破壊すること」
であった。
マヤは、ゴーゴー喫茶で踊り騒ぐ若者たちを見て、
「地球は狂っている」
と判断する。
ここで重要なのは、地球がマゼラン星人へ侵略を行ったわけではないという点である。
また、資源争奪や領土問題が存在していたわけでもない。
彼らは、
「地球人の文化や価値観」
そのものを危険視していたのである。
つまりマゼラン星人にとって地球人は、
「理解できない異質な存在」
だったのである。
■なぜ「違い」は対立を生むのか
人は、ときに自分たちの文化や価値観を「正しいもの」と考え、異なる価値観を危険視する。
政治学者 丸山眞男は、民族意識が「敵」を意識する段階に至ったとき、ナショナリズムが出現すると述べている。
ナショナリズムが高揚すると、自らの国家や価値観を絶対視し、対外的には排他的になる場合がある。
マゼラン星人もまた、自らの価値観によって地球を「狂った星」と判断したのであろう。
そして、そのような危険な文明は排除されるべきだと考えたものと思われる。
社会学者 L・コーザーは、紛争はイデオロギーが関係するほど激しくなると述べている。
実際、マゼラン星人の目的は、地球文明との共存ではなく、地球そのものの抹殺であった。
このような「異なる存在への排除」は、ウルトラシリーズの他作品にも見ることができる。
『第四惑星の悪夢』では、ロボットたちが人間を劣った存在として扱い、特定区域へ隔離していた。
また、人間はロボットの娯楽の対象として扱われる場面も存在していた。
そこには、
「自分たちの方が優れている」
という意識を見ることができる。
異なる存在を危険視したり、劣ったものとみなしたりすることは、対立や支配につながる場合があるのである。
■現実世界の話
このような問題は、現実世界においても見ることができる。
歴史上、人々はしばしば、
・民族の違い
・宗教の違い
・思想の違い
・文化の違い
・宗教の違い
・思想の違い
・文化の違い
などによって対立してきた。
また、相手を
「野蛮」
「危険」
「理解不能」
「危険」
「理解不能」
とみなすことによって、敵意が強まる場合もあった。
政治学者 H・モーゲンソーは、
「ある特定の国家の道徳的主張と、普遍的道徳とを混同してはならない」
と述べている。
つまり、自分たちの価値観を絶対的に正しいものと考えたとき、対立はより危険なものへ発展するのである。
■この話の意味
『盗まれたウルトラ・アイ』は、もちろん、
「ウルトラセブンとマゼラン星人の戦い」
として楽しめる作品である。
しかしその一方で、
「人はなぜ異なる存在を恐れるのか」
「価値観の違いは、なぜ対立へ発展するのか」
「価値観の違いは、なぜ対立へ発展するのか」
という問題を考えさせる部分も存在している。
マゼラン星人は、地球人を理解しようとする前に、
「狂った存在」
と決めつけ、排除しようとした。
そこには、
「違い」
そのものが敵意へ変わっていく構造を見ることができるのである。