■今回取り上げる話
今回取り上げるのは、ウルトラセブン「地底GO!GO!GO!」である。
これまで見てきたように、戦争や対立の原因には、
・領土
・資源
・支配
・価値観の違い
など、さまざまなものが存在する。
しかし一方で、
「人間そのものが、もともと争いを好むのではないか」
という考え方も存在する。
人間は本能的に攻撃性を持っているのだろうか。
それとも、特定の状況が人間を戦争へ向かわせるのであろうか。
『地底GO!GO!GO!』からは、そうした問題を考えることができる。
■今回のテーマ
戦争原因については、古くからさまざまな議論が行われてきた。
その中には、
「人間には本能的な攻撃性が存在する」
という考え方もある。
心理学者 S・フロイトは、人間には攻撃性という本能的傾向が存在すると述べている。
また、動物行動学者 K・ローレンツも、攻撃衝動は人間に備わった本能的性質の一つであると論じた。
もしそうだとすれば、人間は未知の存在や異質な存在に対して、恐怖や警戒から攻撃を行ってしまう可能性がある。
そして、こうした問題はウルトラシリーズにも描かれている。
■ストーリー
浅池炭坑で原因不明の事故が発生し、青年が地底へ閉じ込められた。
調査と救助のため、ウルトラ警備隊はマグマライザーで地下へ向かう。
するとそこには、巨大な地底都市が存在していた。
しかし、その都市が何者によるものなのかは最後まで明確にはされなかった。
宇宙人による侵略基地だったのか。
あるいは、人類よりはるか昔から存在していた地底人類の文明だったのか。
真相は不明のままである。
しかしウルトラ警備隊は、その地底都市を爆弾によって完全に破壊してしまう。
ここで重要なのは、
「相手が本当に侵略者だったのか確定していない」
という点である。
つまり地球人側は、未知の存在に対して先制的な攻撃を行っているのである。
■他にも存在する「先制攻撃」
このような問題は、ウルトラシリーズの他作品にも見ることができる。
たとえば『ノンマルトの使者』では、ノンマルトが地球の先住民であった可能性が示唆されていた。
しかし最終的に、彼らの海底都市はウルトラ警備隊によって破壊されている。
もちろん、ノンマルト側にも武力行使は存在していた。
しかし、
「本当にどちらが侵略者だったのか」
は、最後まで曖昧なままであった。
それにもかかわらず、地球側は彼らを排除している。
そこには、
「未知の存在への恐怖」
や、
「先に攻撃しなければ危険である」
という心理を見ることもできるのである。
■現実世界の話
このような問題は、現実世界においても存在している。
歴史上、国家はしばしば、
「将来脅威になるかもしれない存在」
に対して先制的な行動を取ってきた。
たとえば、冷戦時代のアメリカとソ連は、互いを潜在的脅威とみなし、強い軍事的警戒を続けていた。
また、2003年のイラク戦争では、大量破壊兵器保有の疑惑が軍事行動の大きな理由の一つとされた。
つまり人間は、相手の危険性が完全に証明されていなくても、不安や恐怖によって攻撃へ向かう場合があるのである。
また、人間は恐怖や不安を感じたとき、相手の意図が完全に分からなくても攻撃を選択してしまうことがある。
つまり戦争とは、単なる利益争いだけではなく、
「人間の攻撃性」
そのものとも関係している可能性があるのである。
■この話の意味
『地底GO!GO!GO!』は、もちろん、
「ウルトラ警備隊と謎の地底世界との遭遇」
として楽しめる作品である。
しかしその一方で、
「人間はなぜ未知の存在を恐れるのか」
「なぜ先に攻撃してしまうのか」
「本当に相手は敵だったのか」
という問題を考えさせる部分も存在している。
地球人は、侵略者かどうか確定していない存在を、自らの判断によって破壊してしまった。
そこには、
「人間自身の戦争志向性」
とも呼ぶべきものを見ることができるのである。
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